あがり症、それは単なる緊張ではなく、日常生活に大きな支障をきたす深刻な問題です。
傍から見れば「誰でも緊張するから大した問題じゃない!」と思われがちですが、人によっては「生きるか死ぬか・・」それくらい辛いものがあります。
ここでは、緊張しやすい性格の本質を明らかにし、その症状や原因、そして対処法を分かりやすく解説していきます。
あなたやあなたの大切な人が緊張しやすい性格で悩んでいるなら、ぜひ参考にしてみてください。
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Contents
あがり症(社交不安障害)とは?
あがり症、または社交不安障害(しゃこうふあんしょうがい)とは、人前で話すことや特定の社会的な場面に対する強い恐怖や不安を感じる精神的な健康問題のことです。
もっと簡単に言うと、あがり症とは、人前で必要以上に心配して緊張することです。
意識すればするほど、緊張感が増していくのも厄介なところですね・・。
あがり症(社交不安障害)の症状
あがり症の主な症状は、人前で話すことへの強い恐怖、社会的状況を避ける行動、そして心拍数の増加や発汗などの身体的反応です。
① 人前で話すことへの強い恐怖
スピーチやプレゼンテーション、会議など、人前で話す必要がある場面で感じる強い不安を指します。
この恐怖は、その場面に直面する時や、その場面に直面する可能性がある時に起こります。時には想像しただけで恐怖を感じることもあり、恐怖が続くことで精神的なダメージは計り知れません。
スピーチの練習を重ねることで、さらなる恐怖を覚えることもしばしば起こります。
② 社会的状況を避ける行動
人は本能的に、不快な状況を避け、身を守る行動をとります。
飲み会やイベント、知らない人との出会いなど、他人との対人関係が必要な多くの場面を避けるようになっていきます。
外との接触をできるだけ避けることで、自宅に引きこもってしまうことがあります。この点で、対人恐怖症と似通っている症状とも言えるでしょう。
③ 心拍数の増加や発汗などの身体的反応
社会的な困難な状況に直面したとき、心臓がバクバクしたり、冷や汗をかいたりする身体的反応が見られます。
ストレスや不安が高まるときに体が自然に反射的に反応するもので、"戦うか逃げるか" の反応とも呼ばれます。
"戦うか逃げるか" の反応とは、生物が脅威に直面したときに示す本能的な反応のことです。
この反応は、生物が生存するために必要不可欠なもので、脅威から逃れる(逃げる)か、脅威に立ち向かう(戦う)かの二つの選択肢から適切な行動を瞬時に選択します。
そして、脅威に対処するために体のさまざまなシステムが活性化していきます。
たとえば、心拍数の増加は、筋肉に必要な酸素と栄養を送り込むための血流を増やすのに役立ちます。また、発汗は体温を調節し、過度の熱を放出するのに役立ちます。
つまり、これらの身体的反応は、社会的な状況に対処するための人間にとって重要なメカニズムであり、ストレスや不安に対処するためのごく自然なものであるということを認識しておいてくださいね。
あがり症(社交不安障害)の原因
あがり症の原因は完全に解明されているわけではありません。しかし、遺伝や脳の化学物質のバランスの崩れ、過去の社会的経験などが関与していると考えられています。
遺伝的要素は、あがり症の発症に影響を及ぼし、あがり症の親を持つ子どもは、あがり症になるリスクが高くなります。
そして、脳の化学物質の不均衡も あがり症の原因となり、特に、セロトニンという神経伝達物質のバランスが崩れると、人は過度の緊張や不安を感じやすくなります。
また、過去の社会的経験やネガティブな経験も、大きく影響を及ぼします。
例えば、幼少期に虐待を受けたり、人前で恥ずかしい経験をしたなど、過去の辛い経験が引き金になり あがり症を発症することも珍しくはないのです。
耐え難い、あがり症(社交不安障害)の注目すべき特徴
あがり症になると、日常生活で多くの困難が生じます。
例えば、会議で上手く発表できなかったり、人前で話すのが怖くなったりと、大きな支障が出てきます。
発症することで、いつもの自分を出せず、自分の意見をうまく伝えることができず、どんどん精神が削られていきます。
これは想像を絶する苦しみを伴い、何十年と悩み続けている・・といった人も少なくはありません。
あがり症(社交不安障害)になると、生きるのが辛くなる
あがり症がもたらす困難は多岐にわたります。
特に、社交的な場面での自己表現が難しくなるため、友人関係や仕事での昇進昇給などキャリアにも多大な影響を及ぼします。
また、あがり症の人は、初対面の人との集まりや、大勢の人の前で何かをすることを避ける傾向があり、これによって生活の質が見る見るうちに低下していくのです。
あがり症(社交不安障害)になりやすい年齢、年代
あがり症は、特に10代や20代の若い年齢で発症することが多く、当たり前のこととして見過ごしてしまいがちです。
この時期は自己意識が強くなり、他人からどのように評価されているか?とても気になる年代です。
そして、一生の中で最も社会的な能力が発達する重要な時期であるため、新しい社会的状況に適応するストレスが増え、あがり症の発症リスクを高めてしまいます。
逆に言えば、20代を過ぎれば あがり症はほぼ発症しないと言えるでしょう。
また、若い年代で発症し「自分だけが特別緊張する性格じゃないし・・みんな同じなんだから・・」と、軽く考えていると、事態は悪化していく一方です・・。
どれだけ早く自分で症状を認識し、いかに克服していくかがとても大切になってきます。
あがり症(社交不安障害)になりやすいのはどんな人?
内向的な性格の人や、過去に嫌な経験をした人は、あがり症になりやすい傾向があります。
内向的な人は、自己意識が高く、他人からの評価に敏感であるため、どうしても あがり症のリスクが高くなります。
また、過去の嫌な経験、特に人前で恥ずかしい思いをした経験やトラウマによっても あがり症を発症させてしまうから厄介です。
しかし、あがり症になってからでも、適切なサポートと治療を受けることで、あがり症を克服することが可能 です。
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あがり症(社交不安障害)の主な治療方法
あがり症(社交不安障害)の治療は、症状によって色んなアプローチを組み合わせることで行われます。
主な治療方法としては、「薬物治療」と「認知行動療法」です。
あがり症(社交不安障害)の薬物治療
あがり症の治療には、抗不安薬 や 抗うつ薬 、βブロッカー が用いられることが多いです。
薬を内服することで、脳内の化学物質のバランスを調整し、不安や恐怖心が軽減されていきます。
そして、お薬は即効性があるため、状況に応じて頓服で使用している人もいます。状況によっては常に飲む必要がないということです。
それでは3種類のお薬にはどんな特徴があるのでしょうか?
抗不安薬
抗不安薬は、短期的に緊張や不安を和らげるために用いられます。
具体的な抗不安薬としては、「デパス」や「ソラナックス」が有名です。
抗不安薬とは、脳内の特定の受容体(GABA受容体)に作用し、神経細胞の興奮を抑えることで、不安や緊張を和らげるお薬のことです。
GABA(ガンマ・アミノ酪酸 Gamma-Aminobutyric Acid)は、脳内の神経伝達物質で、神経細胞の興奮を抑える働きを持っています。
神経細胞は情報を伝達するために、興奮と抑制の2つの状態を切り替え、興奮状態では、神経細胞は情報を伝達し、抑制状態では情報の伝達を止めます。
GABAは、この抑制の役割を果たし、神経細胞が過度に興奮するのを防ぐのです。
抗不安薬は、このGABAの働きを増強することで、不安や緊張を和らげる効果を発揮しますが、長期的な使用には依存のリスクがあります。
最近では、GABA入りのチョコレートもたくさん販売されていますが、いづれにせよ必ず医師の指導のもとで使用する必要があります。
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抗うつ薬
一方、抗うつ薬は、長期的な不安を調整するために用いられます。
脳内のセロトニンという神経伝達物質のバランスを調整し、気分を安定させることで、あがり症の症状を和らげます。
抗うつ薬としては、「パキシル」や「デプロメール」、「ルボックス」、「ジェイゾロフト」などの選択的セロトニン再取込阻害薬(SSRI)があります。
SSRIは比較的副作用が少ないため、うつ病の初期治療によく用いられています。
選択的セロトニン再取込阻害薬(SSRI)とは、脳内の神経伝達物質であるセロトニンの再取り込みを阻害し、その結果、脳内のセロトニンの量を増やすことで抗うつ効果を発揮する薬の一種です。
もうすこし分かりやすく説明すると、選択的セロトニン再取込阻害薬(SSRI)は、神経細胞が放出したセロトニンが元の細胞に戻るのを防ぎます。
これにより、神経細胞間の空間(シナプスと呼ばれる)に長く留まるセロトニンの量が増え、情報伝達が改善されます。
つまり、「セロトニンの量が増える」とは、シナプス間のセロトニンの量、つまり神経伝達に直接関与するセロトニンの量が増えることを意味します。
読んで字のごとく、抗うつ薬を服用することで鬱病の症状改善が期待できるのです。
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βブロッカー
また、あがり症の治療にはβブロッカーもよく用いられます。
震えや動悸などの症状を改善する効果があり、具体的なβブロッカーとしては、「インデラル」や「アルマール」、「ミケラン」、「メインテート」、「アロチノロール」、「アドビオール」などがあります。
βブロッカーとは、心臓の働きを抑えることで血圧を下げたり、不整脈を抑制したりする薬の一種です。
心臓のβ受容体と呼ばれる部位に作用し、アドレナリンというホルモンの効果をブロック(阻害)します。その結果、心拍数が減少し、心臓の酸素消費量が下がります。
これにより、心臓への負担が軽減され、震えや動悸などの症状が改善していくのです。
しかしこの薬には副作用として気分障害を引き起こす可能性があるため、うつ病の人が使用するには細心の注意が必要です。
医師の指導のもとで適切に使用することが重要です。
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あがり症(社交不安障害)の認知行動療法
認知行動療法は、あがり症の治療に非常に効果的な方法です。
現在のあがり症の治療には場当たり的な薬物療法だけが用いられがちですが、この認知行動療法を使用することで、長期的な安定した症状の改善が見込まれます。
認知行動療法とは何か?
認知行動療法は、心理療法の一種で、不適切な思考パターンを特定し、それらをより健康的で現実的なものに置き換えることを目指します。
この療法は、不安や恐怖を引き起こす思考や信念を特定し、それらを調整し、変えていくのが最終目標です。
認知行動療法のプロセス
認知行動療法は、あがり症の治療では効果のあるやり方です。この療法のプロセスは以下のように進めていきます。
- 自己理解: まず、あがり症の人は自分の思考や感情を理解することから始めます。これは、自分がどのように考え、感じているのかを深く探る作業です。
- 思考と行動の関連性: 次に、自分の思考や感情がどのように行動に影響を及ぼすかを理解します。これは、自分の行動がどのような思考や感情から生じているのかを見つける作業です。
- 新しいスキルの習得: その後、自分の思考や感情を変えるための新しいスキルを学びます。これは、自分の思考や感情のパターンを変えるための具体的な方法を学ぶ作業です。
- 対処法の実践: 最後に、不安を引き起こす状況にどう対処するか、新しい方法を考えます。これは、新しく学んだスキルを実際の生活に適用する作業です。
このように、認知行動療法は、自分自身を理解し、思考や感情のパターンを変え、新しい対処法を学ぶというプロセスを通じて、あがり症の症状を改善することを目指します。
この療法を受けることで、日常生活をより快適に過ごすことが期待できます。
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認知行動療法の効果
この療法を受けることで、自分の思考や感情をより良く理解し、それらが行動にどのように影響を及ぼすかを理解することができます。
例えば、ある人が人前で話すことに強い不安を感じるとします。
その不安は、「他人に否定的に評価される」という思考から来ているかもしれません。
認知行動療法では、そのような思考が現実に基づいていないことを理解し、それを「他人の評価は自分の価値を決めるものではない」というような健全な思考に置き換えることを学びます。
また、不安を引き起こす状況に対処するための新しい能力を学ぶこともできます。
呼吸法やリラクゼーションの方法を学ぶことで、不安を感じる状況に遭遇したときに落ち着きを保つことができます。
お薬で一時的に対処するのと比べ、一度身に付けてしまうと長期間に渡って効力を感じやすいのが認知行動療法の良いところなんです。
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まとめ
あがり症は、人前で話すことや特定の社会的状況に対する過度な恐怖や不安を引き起こす一方で、適切な治療とサポートにより管理可能な疾患です。
お薬で対処することもできるし、今の思考を変えることでも改善できます。
しかし、実際には症状があるにも関わらず、放置している人も少なくありません。症状をさらに悪化させる恐れもあります。
「生きるのも辛くなる・・」
と感じる状況が一度でもあれば、適切な医療機関に相談するようにしてくださいね。
あがり症は必ず改善できる病気です。適切な方法で改善し、新たな人生を手にしていきましょう♪